秋篠雅弘氏は現在も行方不明。テクノポリス誌で語っていた事。2

https://akakan.seesaa.net/article/501120361.html?1697395877

の続き。


全15,360 画面?もある「夢幻戦士ヴァリス』 の攻略法は......?

『ファイナルゾーン』は2万5000本の製品が売れたという。 初期ロット2~
3000本が相場のこの世界で、 この数字はなかなかのもの。 が、秋篠さん
たちが総力をあげている今度の作品『夢幻戦士ヴァリス』は、とりあえず
『ファイナル』の2倍を狙っているというから、その自信たるやたいへん
なものである。 スクウェアの『ブラスティ』は自滅したゲームと酷評する
彼らの最新作とは、いったいどんなものなのだろうか?


ー新作について聞かせてください。

「おおざっぱにいうと、 女子高生が異次元の世界に入っていき、 悪の帝
王を倒すというストーリーのアクションゲームです」

ーRPG風のものですか?

「みんなRPGが好きなので、 そっちの方向に近づいていることは確かで
すね。 とにかくユーザーにマッピングさせたい、というのがぼくの希望
でしたから......」

—ということは ?

「ええ。 1レベルで1024画面用意しました。それが15レベルあります」

―それはスゴイ!

「マップの広さには満足してます。 PC-8801 でこれだけの広さを持った
ものは、おそらくないでしょう。 マップの端から端まで走っていくと、
20分くらいかかります。それから、見ていただければわかると思います
が、とにかく動きが速い。 ビジュアル面もアニメみたいで、かなりきれ
いに仕上がってますよ」

ー意識したゲームとかあります?

「最初のころは 『グリーンベレー』とか『影の伝説』を意識しましたね。
ぼくたちはアーケードゲームに影響を受けやすいんです。 アーケードと
戦っちゃおうという意気込みでゲームを作ってますから」

―では、パソコンのソフトなんか目じゃない?

「マップ作りでは当初『ザナドゥ』を意識したけど、 あのゲームはプロ
グラム面で相当手抜きしてますからね。 こちらはカラーで構成してるの
で、あまり問題にしてません。 とにかく、ぼくはマシンのスペックを最
大限に生かすことをモットーに組んでるんです」

ー『ヴァリス』を自分で批評すると?

「このゲームは、ある一面だけを見れば、他のゲームに完全に勝ってい
ると思うんです。ただ、自分がユーザーサイドから離れたところで作って
るんで、その点でどうかなって不安はあります。 ただ、自分では満足し
ていますけど」

一進行状況はどうですか?

「あと少しというところまできています」

ー発売予定は?

「いちおう10月末です」

一読者にPRをどうぞ。

「買って損はないゲームだと思うんですよね(笑)。 うまくできてると思う
し、かなりおもしろく楽しめるんじゃないかな。 『ファイナル』のいい
ところは完全に生かし切ってるから、 あのゲームが好きなユーザーはか
ならず気に入ってくれるでしょう。 他のユーザーにもとっつきやすいは
ずです」

―攻略法とか教えて?

「まだ早すぎますねえ。 ぼくたちがまだ試してないんだから(笑)。 ただ、
隠れ面とか、隠れキャラ、隠しコマンドも用意したんで、 しかるべき
時には・・・・・・。 楽しみにしててください」






16ビット機はスゴイ!でも88にこだわって機能をフルに使いたい

現在秋篠さんは、会社のフロアで寝泊まりし、たまにビデオを見に帰宅し
たり学校に通ったりする生活だという。 彼の過去についてたずねてみると、
高校時代は生徒会に属し、高校3年の時に8ミリにコり、大学では映画研
究会に所属した、ということがわかった。映画に夢中になった理由を聞くと、
「自己表現をしたかったんです」 という答えが返ってきた。 そんな彼がど
ういう契機でパソコンに興味を持ったか? また将来についてどういう希望
を持っているのか? じっくりうかがってみよう。


ーパソコンとの出会いは?

「ぼくはかなり遅いほうで、大学時代に出たばかりのPC-8801mkⅡを買っ
たのがはじめなんです。 83年ころですか。 もともとぼくは映画青年だっ
たので、字幕とかにワープロを使いたいという動機から、パソコンに興味
を「持ったんです」

ーなるほど。

「ところが、 市販のワープロソフトって、はっきりいってあまり使えない
でしょう? で、自分で漢字をプットしたくて、 まずBASICを覚えたんです。
ところがあまりにも遅いんで、マシン語を学ぶ必要性を感じて、次第にプ
ログラミングを身につけていったんです」

―それにしても、ずいぶん短期間で修得しましたね。

8ビット系の本はほとんど買いましたし、読みまくりました。 何しろ大学
時代からはじめたんで後発なんですよ。 よく知らないことも多い。だか
ら、 意地を見せようと。 でも、後発というのもよかったと思うんです。
かえってマシンに対する先入観も植えつけられていないし、 機械のスペッ
クだけを見てプログラムできるという利点がありますから」

ーやはりプログラムの技術にはこだわりたい、 と ?

「ええ。 与えられたものの中でできるかぎりのものを出していく、という
のがぼくの基本姿勢です。その意味でシステムソフトは意識してるんです」

―というと?

「あくまで技術的な問題なんですが、ほかのソフトハウスには技術者の意
地が感じられないんです。 ぼくなんかは、もっとこうすればよくなるはず
だ、とたえず向上しようとしてプログラムを組んでいる。 でも、他のソフ
トハウスにはそういう意気込みが感じられないんです。その点システムソ
フトは技術面でもがんばって、いろいろ開拓しようとしている。そのへん
が刺激的なんです」

一ほかはそんなにふがいない?

「ふがいないというか、 努力が感じられないんです。 いいかげんなとこ
ろも多く見られる。技術面に力を入れてるわけでもないのに、日本初の
とか、世界ではじめてとか、 宣伝しているわけです。 そういうことは、き
っぱりやめてほしいですね」

ー現在、 興味のあるマシンは?

「88が好きなもので、こだわっていきたいですね」

他のマシンは?

「うーん。たとえば、 16ビット機はスゴイと思うんです。 でも、 16ビッ
トでやった 『レリクス』が本当にその機械の性能を引き出しているかとい
うと、かなりウソくさいと思う。真面目に取り組んだら、 88でもあのくら
いできると思ってるんです。 パソコンのスペックというのは、まだまだ上
のほうにあるんです。機能をフルに生かせば、まだいろいろできるんだ、
とぼくは考えているんです」

ー最後に将来の夢を聞かせてください。

「この業界では、まずゲーム作家として一人前になりたい。 それに、 ユ
ーザーにスゴイと思わせるものを作りたいと思ってます。 ゲーム自体を
第三芸術の領域にまで高められたらいいですね」


○ 『ヴァリス』 の主人公は、 あの南野陽子がモデルらしい

あきしの・まさひろ
●出身地: 岩手県盛岡市。 現在は東京・杉並区に住む
●生年月日:昭和35年10月21日。 てんびん座 。B型。 26歳
●出身校: 東京理科大理学部物理学科在学中
●趣味: 実践はしてないけど、株の勉強をしてます
●特技: おニャン子クラブの声を聞き分けられる
●最初のパソコン : PC-8801mkII
●愛機: 同じく88
●作ったゲーム : 『ファイナルゾーン』
●好きなゲーム : ゲーセンでは 「影の伝説』
サッカーの『ワールドカップ』。 パソコンで
は 『夢幻の心臓』 が好きだった
●最近興味のあること : 『スケバン刑事 』 の映
画化
●好きな学科:数学・物理
●嫌いな学科: 英語。 国粋主義なもんで(笑)
●愛読書: 清水達雄さんの本
●好きな漫画: 少年ジャンプの『気まぐれオ
レンジロード』。 『スケバン刑事』。昔は翔
んだカップル』
●好きなアニメ : 『ザブングル』
●好きな映画: 『翔んだカップル』。 50回以上
見ました
●好きな音楽: おニャン子のもの。 だいたい
アイドル系
●自分の性格: B型のようでA型タイプ。 結
構神経質でコマメなんです
●生活信条: 特になし
●収入: 年収 ? ?? 万円
●これだけはいいたい : テレネットに注目し
て! もう残されたソフトハウスはテレネ
ットしかない

1986年11月号、テクノポリス誌にて。





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