秋篠雅弘氏は現在も行方不明。テクノポリス誌で語っていた事。1
最近話題を集めている 『ファイナルゾーン』のプログラマ秋篠さんを訪
問。 ちょうど開発最終段階だった 『夢幻戦士ヴァリス』の話も聞けた。
今月は異例の2本立になったホットアクセスを十分に堪能して頂きたい。
秋篠雅弘さん
「フロムA」で入社していきなり作らされた『ファイナルゾーン』
『アメリカントラック』 『アルバトロス』で、着実に人気ソフトハウ
スの座を固めつつあるのが日本テレネット。 最新作の『ファイナルゾ
ーン』は、ストーリー性を持った異色のシヒューティングゲームとし
て話題を呼んでいる。
このソフトの制作にあたって中心的な存在となったのが秋篠雅弘さん。
26歳の俊英プログラマである。 今回は、『ファイナルゾーン』制作
の裏話をはじめ、 現在開発中の話題作『夢幻戦士ヴァリス』 の最新
情報まで、存分に語ってもらった。
ー『ファイナルゾーン』がヒットしてますね。
「ヒットさせようと思ってましたから(笑)。ユーザーの立場で見ると、
今の市場にはあまりいいソフトがないように思えたんです。 だから、
ユーザーが満足できるものを作ってやろうと、志を高く持ってやり
ました」
ーできあがったものは理想通りに?
「うーん、やっぱり失敗した部分もかなりあります。 ゲームバラン
スが悪いとか......。 でも、ゲーム自体は新しいものを出せたんじゃな
いかな。 シューティングオンリーではなく、ストーリー性を加味し
てできるだけ長く遊べるゲームにしたつもりです。腕くらべのゲー
ムじゃもの足りませんからね」
ーたしかにユニークでしたね。 影響を受けたゲームなんかあります ?
「くテグザーショック> とぼくらはいっているんですが、 『テグザー』
を見たときは正直驚きましたね。 オープニングとかエンディングであ
そこまでコッたゲームは当時ありませんでしたから」
ーどういうキッカケでこのゲームを作るようになったんですか?
「テレネットに入ったら、とりあえず3人のチームでゲーム作りをまか
されたんです」
―エッ、いきなり?
「会社としては、企画のために募集していたんでしょうね」
ーテレネットへはどういういきさつで ?
「 『フロムA』 の求人欄で・・・・・・(笑)。 こづかいかせぎのアル
バイトができれば、 と軽い気持ちで入ったんです。 ところが、すぐ
に大きな仕事をまかされちゃって。 ハメられたな、という感じがしま
すねえ(笑)」
ーアルバイトに応募するとき、 テレネットについてどんな印象を持っ
てました?
「とにかく 『アメリカントラック』 が発売される以前でしたから、
ほとんど何も知らなかったですね」
ー第一印象は?
「マンションの一室でやってたもんだから、かなり小規模なんだなと
思いました。 何しろプログラマが5人くらいしかいなかったですから.
.....」
ー現在は?
「プログラマはあいかわらず少ない。 7、8人ってとこですか。 ただ、
バイトですが、 グラフィックデザイナーがずいぶん増えたのが以前
との決定的な違いでしょうね」
ープログラマとデザイナーはきちんと分業されているわけですね?
「そうでもないです。 ワイワイ皆で騒ぎながらやってますから、 分業
なんてカッコよくいうほどじゃありません」
疑似3Dの縦スクロールを8ビット機で表現、自慢できるひとつ
です
こづかいかせぎの軽い気持ちでバイトをはじめた秋篠さんを待っていた
のは、思いもかけない大きな仕事だった。 それまでゲームプログラムを
組んだこともなかったというから、 彼にとって処女作の『ファイナルゾ
ーン』制作は相当に重圧がかかったにちがいない。 それでも完成させて
しまったのだから、その実力は目を見張るものがある。シナリオライタ
ー兼グラフィックデザイナーの同僚林浩樹さんも、「オセジ抜きに彼は
頼りになるプログラマ」と評価する。 『ファイナルゾーン』制作の苦労話
に耳を傾けてみよう。
ー『ファイナルゾーン』に着手したのはいつごろ?
「企画を立てはじめたのが去年の8月です。で、今年の4月末発売だから、
けっこう時間はかかってます。 当初は11月末発売予定だったんですが、
思うようにいかなくて・・・・・・」
ー実際はゲームのどの部分を担当したんですか?
「原作はぼくです。 4人か5人くらいのチームで作っていったんですが、
最初から最後まで一貫して加わったのはぼくだけですね。いちおうPC
-8801版のメインプログラムも担当しました」
―どんなイメージでゲームを作りはじめました?
「まず人型のシューティングゲームにしようと思ったんです、 戦場モ
ノでね。 人型のタイプというのはそれほどないので、 企画は成功した
と思うんですが、 キャラクタパターンがかなり必要で、たいへんなこ
とはたいへんでした。 パソコンソフトでこれまでに少なかったタイプ
というのは、それだけ難しかったからなんですね (笑)。 あとは、 スト
ーリー性を重視して、他のゲームと差をつけようと考えました」
ー具体的には何からはじめていきました?
「スクロールの重ね合わせのデータ構造から考えはじめて、 自分で試
行錯誤しながら、 少しずつ味方や敵を出していったんです」
―アイデア出しにはどのくらいかかりました?
「2ヵ月くらいはずっと没頭してました。 かなり大規模なものだったか
ら、 そうならざるを得なかったんですね」
—苦労した部分は ?
「プログラミング面では、やはり重ね合わせですね。 ゲーセン並に疑
似3Dというか、斜め上から見た構図で作ったので、キャラクタの存在
に3段階のプライオリティを持たせるのがたいへん。 それに、キャラ
クタパターンが多いので、それを少なく見せるのも苦労しました」
ーうまくいったところは?
「やっぱり疑似3Dの縦スクロールですね。林の中に入っていく風景に
ついて皆で考えたとき、これはもう16ビットでなければできないとい
う結論に到達したんです。 でも、それを疑似的にでも8ビット機で表
現できたことがとても満足なんです。 たとえば、 システムソフトの『
冒険浪漫』 よりずっとよくできたと自負してます。ほかでここまでで
きたのはないと思いますよ」
―なるほど。
「ほかにも、技術的に自慢できるところはかなりあります。 88 のメモ
リ空間を完全に利用できたこともそうですし、 ゲーム中に音楽がコロ
コロ変わっていくのも、パソコンソフトでははじめてだったと思います」
ーやり残したこととか、 反省点は?
「もっとデカイものを動かしたかった、というのがありますね。 たとえ
ば、 背景になっているバトルスーツを動かしたかった。 それと、川の
中からドーンと腕が出てくる仕掛けを実現したかったですね。 時間の都
合で切らざるを得なかったんですが、それが残念でね」
ーほかには ?
「やっぱりゲームバランス。 作っているときはスゴイものをやってる意
識があったんですが、若干頭デッカチになったって反省してます」
https://akakan.seesaa.net/article/501120400.html?1697395934
に続く。
問。 ちょうど開発最終段階だった 『夢幻戦士ヴァリス』の話も聞けた。
今月は異例の2本立になったホットアクセスを十分に堪能して頂きたい。
秋篠雅弘さん
「フロムA」で入社していきなり作らされた『ファイナルゾーン』
『アメリカントラック』 『アルバトロス』で、着実に人気ソフトハウ
スの座を固めつつあるのが日本テレネット。 最新作の『ファイナルゾ
ーン』は、ストーリー性を持った異色のシヒューティングゲームとし
て話題を呼んでいる。
このソフトの制作にあたって中心的な存在となったのが秋篠雅弘さん。
26歳の俊英プログラマである。 今回は、『ファイナルゾーン』制作
の裏話をはじめ、 現在開発中の話題作『夢幻戦士ヴァリス』 の最新
情報まで、存分に語ってもらった。
ー『ファイナルゾーン』がヒットしてますね。
「ヒットさせようと思ってましたから(笑)。ユーザーの立場で見ると、
今の市場にはあまりいいソフトがないように思えたんです。 だから、
ユーザーが満足できるものを作ってやろうと、志を高く持ってやり
ました」
ーできあがったものは理想通りに?
「うーん、やっぱり失敗した部分もかなりあります。 ゲームバラン
スが悪いとか......。 でも、ゲーム自体は新しいものを出せたんじゃな
いかな。 シューティングオンリーではなく、ストーリー性を加味し
てできるだけ長く遊べるゲームにしたつもりです。腕くらべのゲー
ムじゃもの足りませんからね」
ーたしかにユニークでしたね。 影響を受けたゲームなんかあります ?
「くテグザーショック> とぼくらはいっているんですが、 『テグザー』
を見たときは正直驚きましたね。 オープニングとかエンディングであ
そこまでコッたゲームは当時ありませんでしたから」
ーどういうキッカケでこのゲームを作るようになったんですか?
「テレネットに入ったら、とりあえず3人のチームでゲーム作りをまか
されたんです」
―エッ、いきなり?
「会社としては、企画のために募集していたんでしょうね」
ーテレネットへはどういういきさつで ?
「 『フロムA』 の求人欄で・・・・・・(笑)。 こづかいかせぎのアル
バイトができれば、 と軽い気持ちで入ったんです。 ところが、すぐ
に大きな仕事をまかされちゃって。 ハメられたな、という感じがしま
すねえ(笑)」
ーアルバイトに応募するとき、 テレネットについてどんな印象を持っ
てました?
「とにかく 『アメリカントラック』 が発売される以前でしたから、
ほとんど何も知らなかったですね」
ー第一印象は?
「マンションの一室でやってたもんだから、かなり小規模なんだなと
思いました。 何しろプログラマが5人くらいしかいなかったですから.
.....」
ー現在は?
「プログラマはあいかわらず少ない。 7、8人ってとこですか。 ただ、
バイトですが、 グラフィックデザイナーがずいぶん増えたのが以前
との決定的な違いでしょうね」
ープログラマとデザイナーはきちんと分業されているわけですね?
「そうでもないです。 ワイワイ皆で騒ぎながらやってますから、 分業
なんてカッコよくいうほどじゃありません」
疑似3Dの縦スクロールを8ビット機で表現、自慢できるひとつ
です
こづかいかせぎの軽い気持ちでバイトをはじめた秋篠さんを待っていた
のは、思いもかけない大きな仕事だった。 それまでゲームプログラムを
組んだこともなかったというから、 彼にとって処女作の『ファイナルゾ
ーン』制作は相当に重圧がかかったにちがいない。 それでも完成させて
しまったのだから、その実力は目を見張るものがある。シナリオライタ
ー兼グラフィックデザイナーの同僚林浩樹さんも、「オセジ抜きに彼は
頼りになるプログラマ」と評価する。 『ファイナルゾーン』制作の苦労話
に耳を傾けてみよう。
ー『ファイナルゾーン』に着手したのはいつごろ?
「企画を立てはじめたのが去年の8月です。で、今年の4月末発売だから、
けっこう時間はかかってます。 当初は11月末発売予定だったんですが、
思うようにいかなくて・・・・・・」
ー実際はゲームのどの部分を担当したんですか?
「原作はぼくです。 4人か5人くらいのチームで作っていったんですが、
最初から最後まで一貫して加わったのはぼくだけですね。いちおうPC
-8801版のメインプログラムも担当しました」
―どんなイメージでゲームを作りはじめました?
「まず人型のシューティングゲームにしようと思ったんです、 戦場モ
ノでね。 人型のタイプというのはそれほどないので、 企画は成功した
と思うんですが、 キャラクタパターンがかなり必要で、たいへんなこ
とはたいへんでした。 パソコンソフトでこれまでに少なかったタイプ
というのは、それだけ難しかったからなんですね (笑)。 あとは、 スト
ーリー性を重視して、他のゲームと差をつけようと考えました」
ー具体的には何からはじめていきました?
「スクロールの重ね合わせのデータ構造から考えはじめて、 自分で試
行錯誤しながら、 少しずつ味方や敵を出していったんです」
―アイデア出しにはどのくらいかかりました?
「2ヵ月くらいはずっと没頭してました。 かなり大規模なものだったか
ら、 そうならざるを得なかったんですね」
—苦労した部分は ?
「プログラミング面では、やはり重ね合わせですね。 ゲーセン並に疑
似3Dというか、斜め上から見た構図で作ったので、キャラクタの存在
に3段階のプライオリティを持たせるのがたいへん。 それに、キャラ
クタパターンが多いので、それを少なく見せるのも苦労しました」
ーうまくいったところは?
「やっぱり疑似3Dの縦スクロールですね。林の中に入っていく風景に
ついて皆で考えたとき、これはもう16ビットでなければできないとい
う結論に到達したんです。 でも、それを疑似的にでも8ビット機で表
現できたことがとても満足なんです。 たとえば、 システムソフトの『
冒険浪漫』 よりずっとよくできたと自負してます。ほかでここまでで
きたのはないと思いますよ」
―なるほど。
「ほかにも、技術的に自慢できるところはかなりあります。 88 のメモ
リ空間を完全に利用できたこともそうですし、 ゲーム中に音楽がコロ
コロ変わっていくのも、パソコンソフトでははじめてだったと思います」
ーやり残したこととか、 反省点は?
「もっとデカイものを動かしたかった、というのがありますね。 たとえ
ば、 背景になっているバトルスーツを動かしたかった。 それと、川の
中からドーンと腕が出てくる仕掛けを実現したかったですね。 時間の都
合で切らざるを得なかったんですが、それが残念でね」
ーほかには ?
「やっぱりゲームバランス。 作っているときはスゴイものをやってる意
識があったんですが、若干頭デッカチになったって反省してます」
https://akakan.seesaa.net/article/501120400.html?1697395934
に続く。
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